「『とりあえず出社』という今までの空気感に逆戻りする日々に、モヤモヤを感じている……」 「リモートワークを監視するようなツールが導入され、時間ばかりが評価される風潮に疲れた……」 「アジャイル開発を取り入れているはずなのに、なぜか仕様書を丸投げるだけの仕事になってしまっている……」 コロナ期から再度出社ブームが始まり、これまでの古い価値観と新しい時代の変化に挟まれ、働きづらさを抱えていませんか?
今回は、伝説のプログラマー中島聡氏の著書『ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える』の書評をお届けします。 IT業界でプロジェクトマネジメントに携わる実体験を交えながら、変化を恐れず「ニュー・エリート」として生き残るための、ビジネス・働き方・教育のシフトについて徹底的に解説します。
これからの時代に生き残るのは、「長時間労働をして頑張る人」ではありません。自ら手を動かしてプロトタイプを作り、周囲を巻き込みながら、短時間で圧倒的な価値を生み出す「自律的な個人」です。
【働き方の二極化】リモート監視の愚から、時間ではなく「生み出す価値」の評価へ
会社に「オフィス」は本当に必要か?出社ベースへの疑問
少しずつかつての日常が戻りつつある中で、「なぜ出社ベースに戻すのか」という疑問を持つ人は少なくありません。シリコンバレーから撤退する企業が増えているように、オフィスの必要性自体を根本から見直す時期に来ています。 もちろん、IT投資に力を入れて変化に適応できる企業と、そうでない企業(例えば、高額な手数料に苦しみながらも手探りでサービスを探す個人飲食店など)の間で、急速な二極化が進んでいます。
5時間の手作業と1時間の自動化、どちらに価値があるか
最も変えなければならないのは、「長い時間働いた人が偉い」という古い根性論です。
- Aさん:手作業でミスをする可能性を抱えつつ、5時間かけて作業を終えた人。
- Bさん:マクロや自動化を使って機械的に作業し、ミスなく1時間で作業を終えた人。
経営者やリーダーは、この2人の価値の差を正しく評価しなければなりません。リモートワークを監視ツールで縛るような「愚」を犯していては、生産性を高める優秀な人材から順に去っていってしまいます。
【イノベーション】アイデアは誰でも作れる。手を動かして「プロトタイプ」で人を動かせ
イノベーションを起こす基本は、極めてシンプルです。
手を動かすこと ➡️ プロトタイプを爆速で作ること ➡️ 当事者意識を持つこと
どれだけ「綺麗なアイデア」を頭の中で描いても、実際に動くものがなければ誰の心も動かせません。重要な本質を素早く見極め、まず作ってしまうこと。 「これだ!」と確信したらまっしぐらに突き進み、社内外の人的ネットワークを最大限に活用しながら、楽観的な姿勢で取り組むこと。チャンスを取りこぼさないために、私たちはもっと積極的に動き出すべきです。
【真のアジャイル】仕様書の丸投げをやめ、エンジニアとオーナーの「呼吸」を合わせる
具現化(エンジニア)と即レス(オーナー)の好循環
アジャイル開発やプロジェクトを成功させるには、関わるメンバーの「呼吸」を合わせる必要があります。
- エンジニアの役割:アイデアを具現化すること
- オーナーの役割:即レスによるフィードバックを行うこと
お互いがお互いを思いやって行動し、素早くPDCAを回す好循環は、強固な「信頼関係」があって初めて成り立ちます。この呼吸が理解できない人ほど、相手を信用せず、ただ細かな仕様書を作って「丸投げ」するだけの関係に終始してしまいます。
それは本当に「アジャイル」か?単にウォーターフォールのサイクルを短くしただけではないか
「呼吸」の大切さを理解しないまま形骸化したアジャイルプロセスを導入すると、単に「ウォーターフォールの工程を細切れにしただけ」の悲惨なプロジェクトが完成します。 お互いの信頼関係の中で高速に意思決定を下す。私たちはビジネスをしているのであって、単なる仲良しこよしで仕事をしているのではない、という厳しい目線も時には必要です。
【大企業病との戦い】会議のための会議を無くし、「偏執狂(プロ)」になれ
大企業病の最たる例は、本質を見失った「形だけの会議」や「現場迎合主義」です。 莫大な資金があり、明日クビになるかもしれないという危機感がなければ、全力で変革に挑む当事者は少なくなってしまいます。 「この事業は将来的に厳しい」と誰もが内心思っていても、「この事業から撤退しましょう」という痛みを伴う言葉は、決して現場からは出てきません。だからこそ、周りから「偏執狂(こだわりが強すぎる)」と思われるくらい、本質を徹底的に追求する姿勢を持つことが、大企業病の蔓延する組織を突破する武器になります。
【未来の教育】自律的な学びが個人スピードを爆速化させる「ポストコロナの教育」
これからの「ニュー・エリート」を育む教育は、ベースからガラリと変わっていきます。本書が示す4つのトレンドです。
- パーソナライゼーション(個人の理解度に合わせる)
- 逆転教室(講義は動画等で各自自宅で受け、教室では『わからない部分』の解決や議論を行う)
- ゲーミフィケーション(遊び感覚で能動的に学ぶ)
- Education as a Service(サービスとしての教育の浸透)
特に「逆転教室」を始めとする個別最適化された環境では、従来の全員一律の授業スピードに縛られる必要がありません。例えば数学の授業において、個人の理解度に応じたスピードで進めたところ、学習時間を従来の「半分」に抑えることができたという実績もあります。 教育の前提が変われば、そこで育つ人材のスピード感や能力も、驚異的な速さで進化していくでしょう。
まとめ:進化圧をチャンスに変え、あなた自身の「ニュー・エリートの時代」を生きよう
最後にこの記事のまとめです。
- 出社ベースを疑い、時間ではなく「生み出す価値(生産性)」で勝負する
- アイデアで終わらせず、爆速でプロトタイプを作って人を巻き込む
- 仕様書の丸投げを卒業し、エンジニアとオーナーの「呼吸」を合わせる
- 危機感のない大企業病と戦い、本質にこだわり抜く「偏執狂」として生きる
- 4つの教育トレンドが示すように、自律的に学習スピードを加速させる
新型コロナという巨大なストレスは、私たちの社会にとって強力な「進化圧」となりました。過去の日常にしがみつくか、それともこの波に乗って自分を進化させるか。 まずは今日、手作業でやっている面倒な仕事を1つマクロやツールで自動化してみる。そんな小さな一歩から、新しい時代をサバイブする「ニュー・エリート」への道が始まります。
このブログでは、開始5年でアッパーマス層に到達した資産形成術、プロマネが読んできたためになるビジネス本も紹介しています。

